最近、ニュースやメディアで聞くことが増えた「ゼロエミッション」という言葉。実は、私たちの暮らしに関わる身近な取り組みですが「それって何?」「自分に関係ある?」とお思いの方も多いでしょう。

よく分からない、難しいイメージのあるゼロエミッションですが、ポイントを押さえれば簡単に理解することが可能です。

今回はゼロエミッションとは何か、なぜ注目されるようになったのかを、具体例を挙げながら簡単に解説します。環境問題の基本を押さえ、普段の生活の中であなたにできることを考えましょう。

ゼロエミッションとは何?重要視されている理由を簡単に解説

ゼロエミッションとは何かを知ることで、地球環境に対する見方や考え方が少しずつ変わってくるでしょう。ゼロエミッションとはどのようなものか、そして注目が高まっている背景について、簡単に解説します。

ゼロエミッションの意味

ゼロエミッションとは何かを簡単にまとめると「廃棄物等の排出をゼロにすることを目指す取り組み」です。工場での生産、商品の運搬、廃棄などあらゆる工程で廃棄物の排出を減らし、環境への影響を抑えることを目標としています。

なぜゼロエミッションが重要なのか

背景には、地球温暖化をはじめとする地球環境の悪化があります。

世界の平均気温は1900年代から約1.1度上昇しており、気候変動によって異常気象や海面上昇、感染症の拡大等、さまざまな問題が起こるようになりました。 

このような気候変動を防ぎ安心して暮らせる地球環境を守るため、温室効果ガス、特に二酸化炭素(CO2)の排出を抑えるゼロエミッションの取り組みが、世界中で進められています。

ゼロエミッションに取り組んでいる事例

環境への負担を軽減するために、多くの業界が対策を始めています。

業界内容
飲食工場の省エネ化プラスチック原料の使用量削減
自動車電気自動車の開発リサイクル部品の活用
衣類再生素材の利用古着の回収や再利用

こうした企業努力に目を向けて共感できる企業の商品を選ぶ行動が、ゼロエミッションの推進につながります。

ゼロエミッションとは衣類産業に関わりがある!課題を簡単に解説

私たちの生活に欠かせない衣服が、実は地球環境に大きな影響を与えていると聞けば驚く方は多いでしょう。衣類産業とゼロエミッションとは何か、関係性などを簡単に知って理解できると、環境問題のために私たちが取り組めることがより鮮明に見えてきます

大量生産と大量廃棄

トレンドのサイクルが短いファッション業界では、移り変わる流行に合わせて膨大な量の衣類が次々に生産されています

しかし、流行に合わなくなり売れ残った衣類は、まだ着られる状態であっても保管コストがかかることから、廃棄されてしまうケースが少なくありません。

その結果、衣類の大量生産、大量廃棄が繰り返されており、環境への負荷が深刻化しています。

生産・廃棄にCO2排出量が多い

衣類が作られてから捨てられるまでの過程では、多くのエネルギーが消費されCO2が排出されています。特にポリエステル等の化学繊維は石油から作られており、製造過程で多くのCO2を排出するため、環境への影響は深刻です。

だからこそ、衣類を選ぶときにはデザインだけでなく素材にも目を向け、リサイクル素材や天然素材を選ぶ姿勢が求められます

衣類の寄付の問題点

着なくなった服の寄付は一見良いことに思えますが、実際には課題もあります。

・季節やサイズが合わない
・地元の衣類産業の発展を妨げる
・輸送時や処分時にCO2が排出される

寄付された服が利用されず、廃棄されるケースも珍しくありません。

輸送時に使う船や車からもCO2が発生するため、環境負荷を減らすというゼロエミッションの目標とも合わなくなります。

「余った衣類は不足している地域で役立てられる」と考えがちですが、寄付した衣類が全て有効活用されるわけではありません。そもそも不要な服が大量に出ないよう、業界全体の仕組み作りが急務です。

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衣類産業のゼロエミッションとは…取り組みを簡単に解説します

アパレル業界でも、環境を考えた新しい工夫が次々と取り入れられています。廃棄物ゼロを実現するためには、企業だけでなく消費者の努力も必要です。

ゼロエミッションとはどういう取り組みかを簡単に理解し、企業の工夫や努力を知ることで、環境に優しい選択が無理なく実践できるようになります。

企業のユニフォームの廃棄をゼロにする

企業が使うユニフォームも、環境負荷の一因です。国内で廃棄される年間78.7万トンの衣類のうち、約3.6万トンが企業のユニフォームという報告があります。

社名や名前が書かれているユニフォームが多いため焼却処分となる場合が多く、CO2排出の原因となっているのが現状です。

このような背景からゼロエミッションの達成を目指す動きの一環として、着終わったユニフォームの回収や再利用に力を入れる企業が増えています。

参考:企業ユニフォームの廃棄をゼロに「ゼロエミッションプロジェクト」

再生素材の利用でCO2を削減する

衣類の製造には、大量のエネルギーが必要です。特にポリエステル等の石油を原料とする化学繊維は、製造時に多くのCO2を排出します。

こうした製造時の環境負荷を減らすため、地球に優しい再生素材の開発と利用が広がっているところです。

素材名特徴
再生ウール紡績段階での落ち綿や廃棄されたウール製品を再利用した素材
再生ポリエステル×オーガニックコットンペットボトルから再生した「リサイクルポリエステル」と環境に配慮した「オーガニックコットン」を混ぜたもの

素材開発は石油資源の使用量やCO2の排出量を減らすだけでなく、資源を循環させる取り組みの一例として注目をされています。

参考:資源循環経済の成長に向けたアパレル産業の取り組み事例「ワールドグループの取り組み」

廃棄衣類をリサイクル原料として買取る

不要になった衣類を「ゴミ」ではなく「資源」ととらえ、活用する動きも拡大中です。

企業取り組み
ユニクロ、GU「ユニクロ・GU・プラステ」の不要衣類を回収。回収品は難民への衣料支援、代替燃料への再加工等に活用。
H&Mブランドや状態を問わず古着を回収。状態に合わせて再販売やリメイク、再利用などに活用。

私たち消費者もこうした取り組みに協力することで、ゼロエミッションの実現に貢献できます。

参考: アパレルの在庫リサイクルshoichi「衣類のリサイクル事業に取り組む企業10選!アパレル業界ができることとは?」

まとめ|ゼロエミッションとは廃棄物をゼロにする動き!取り組みを簡単に解説

ゼロエミッションとは、簡単に言うと経済活動に伴う廃棄物の排出をゼロに近づける取り組みです。

中でも衣類産業では、過剰生産と廃棄の過程で大量のCO2が排出されており、大きな環境負荷を生んでいます。地球の環境を守り持続可能な未来を築くには、企業の努力に加え私たち消費者の意識や行動の見直しが欠かせません

たとえば再生素材を使った商品を選ぶ、不要な服はリサイクルに出す等、ゼロエミッション達成のために簡単にできることがあります。

未来の地球環境を守るためにも、消費者一人ひとりがゼロエミッションの考え方や企業の取り組みを知り、環境に配慮した選択を心がけていきましょう!