ニュースなどで「EPRとは…」という言葉を目にすることが増えてきました。私たちのクローゼットにある服の未来に深く関わる、とても大切な考え方です。

これまでの「作って、売って、捨てたら終わり」という常識が、大きく変わろうとしています。これからもファッションを楽しみ続けるためには、EPRを正しく知っておくことが欠かせません。

今回は、EPRの基本的な意味から、アパレル業界が直面している廃棄問題との関係を解説します。あなたの服との付き合い方も、少しだけ新しく変化させていきましょう!

EPRとは?初心者にもわかりやすい拡大生産者責任の基本

EPRとは、これまでの常識を根底から覆(くつがえ)す画期的な仕組みです。なぜ今、世界中でこの考え方が注目され、私たちの暮らしにどのような影響を与えるのでしょうか。

まずは基本となる定義から紐解いていきましょう。

EPRの意味と略称

EPRとは、英語のExtended Producer Responsibilityの頭文字を取った略称で、日本語では拡大生産者責任と言います。

・Extended:これまでの範囲を超えて広げる
・Producer:製品を作ったメーカーや販売した企業
・Responsibility:最後まで責任を持つ

製品を作って売った企業が、製品が捨てられた後まで責任を持ちましょうという考え方です。

EPRの仕組みについて知ろう

今までは、使い終えた製品を回収し処分する責任の多くは、自治体が担ってきており、私たちが納めた税金を使ってゴミを処理していたのです。ですがEPRでは、製品を作ったメーカーが責任を負います。

製品のリサイクル費用を負担し、設計する段階から分解などが出来る素材を選ぶ。そして、自社で販売した製品をユーザーから回収するルートを自ら確保し、社会全体のゴミを根本から減らしていくのがEPRの大きな仕組みです。

なぜEPRが必要とされているのか

メーカーに厳しい責任を負わせる理由として、このまま大量生産や大量廃棄が進めば、地球がもたないからです。

自治体が税金でゴミを処理している限り、メーカーは売った後のことを考えず、安くて壊れやすい製品を作り続けます。ですが、メーカーが捨てられた後のコストを負担することになれば、捨てないための工夫をさせる強力な動機づけとなります。

服の廃棄問題とEPRとは|ファッション業界に求められる責任

EPRとは、深刻化するアパレルの大量廃棄問題を解決する切り札として注目されている仕組みです。なぜファッション業界でこの考え方が不可欠なのか、その背景にある課題と業界の責任について見ていきましょう。

衣類の大量廃棄が問題になる理由

世界中で作られる衣類の量は、過去20年で倍増したと言われています。その一方で、1着あたりの着用回数は減少し、大量の服が短期間で捨てられているのが現状です。

・環境への負荷:焼却時に大量の二酸化炭素が発生し、ポリエステルなどは自然分解されず環境に残る
・資源浪費:服一着を作るために膨大なエネルギーが必要だが、一度も袖を通されずに捨てられるケースも
・埋め立て地の不足:廃棄された服の多くが埋め立て処分され、処分場を圧迫

作って、使って、捨てるという一方通行の流れを止めることが、求められています。

海外で進む衣類EPR制度

現状を受け、特に欧州では衣類に対するEPR制度の導入が急速に進んでいます。先駆けとなったフランスでは、衣類や靴などのテキスタイル製品を販売する企業に対し、リサイクル費用の負担や回収システムの構築を義務付ける法律を施行しました。

また、EU(欧州連合)の繊維戦略では、2030年までにEU域内で販売される繊維製品を、耐久性があり、リサイクル可能で、リサイクル済み繊維を大幅に使用し、危険な物質を含まず、労働者の権利などの社会権や環境に配慮したものにする、との目標を掲げている。

参考:JET「欧州委、持続可能な繊維戦略を発表、ファストファッションは時代遅れと批判」

知ると変わるEPRとは?消費者にできる服の選び方

EPRとは企業側の責任を問う仕組みですが、私たち消費者の服選びが変わることで、この仕組みはより強力に機能します。企業が捨てられない服を作ろうとする動きを、私たちの行動で後押ししていきましょう。

長く着られる服を選ぶ

EPRが浸透した社会では、すぐに捨てられる服を作ることにコストがかかるようになります。そのため、長く愛用できる服を選ぶことが重要です。

・丈夫な天然素材や高品質な混紡素材を選ぶ
・流行に左右されないデザインを重視する
・リペアが可能なブランドを支持する

一着の服を長く着れば、廃棄物の削減になります。大切に扱われた質の良い服は、良質な古着として次の誰かへバトンを繋ぐことができるのです。

回収やリサイクルを活用する

どんなに大切に着ていても、捨てる時は必ず来ます。その際、燃えるゴミとして出すのではなく、資源として循環させるルートを選びましょう。

・ブランドの回収プログラム:クーポンやポイントが貯まる特典がある場合も多い
・古着店やフリマアプリ:まだ着られる服は、リサイクル
自治体の資源回収:雑巾や断熱材などに再資源化されるルートを確認

捨てる時を意識して服を選べば、「循環型社会を望んでいる」という意思表示になります。小さな行動の積み重ねが、ファッション業界の未来を大きく変えていくはずです。

まとめ|EPRとは?正しく理解し服との付き合い方を見直そう

「EPRとは?」をきっかけに、私たちの身近にある服が抱える課題と、世界的な取り組みについて見てきました。

製品が役目を終えてゴミになるまで拡大されるという仕組みは、大量生産・大量廃棄のサイクルを止めるための大きな希望となるでしょう。企業が捨てられない服やリサイクルしやすい服を作れば、私たちの手元には質の良い服が残り、受け継がれる良質な古着の循環を生み出すはずです。

EPRという考え方をクローゼットの片隅に置きながら、お気に入りの一着とより深く、より長く付き合っていく心地よい暮らしを、今日から考えてみましょう。