環境や倫理への配慮が求められるファッション業界で注目のヴィーガンファッションですが、意味がよくわからないという人も多いでしょう。

今回は、動物や環境を守るヴィーガンファッションの基本的な知識と、製品やブランドの選び方を詳しく解説します。本当にヴィーガンファッションに取り組んでいるブランドを知っていると、環境・動物たちに配慮ができるでしょう。

ヴィーガンファッションの選択は、動物や環境を犠牲にせず、共に生きる社会づくりに貢献できます。

今注目のヴィーガンファッションとは？動物を使わないエシカルな選択

動物を搾取しないという考え方に基づく「ヴィーガン」は、食べ物だけでなくファッションも含まれます。まずは、ヴィーガンファッションの定義とファッション業界で注目されている理由を解説します。

ヴィーガンファッションとは 

「ヴィーガンファッション」は、動物の毛や皮などを使わず、植物や人工の素材で作られた服やアイテムを指し、動物を守り環境にもやさしいファッションです。

似た言葉として、地球や人にやさしく未来まで続くよう考えられた「サステナブルファッション」や、人や環境・社会に配慮した倫理的な「エシカルファッション」があります。

いずれも環境や人に優しいという共通点がありますが、エシカルファッションは包括的な倫理観を重視しており、ヴィーガン・サステナブルを含んだ概念といえます。

なぜ今ヴィーガンファッションが注目されているのか

ヴィーガンファッションは、動物や環境保護の側面から注目されています。

ファッション業界は、環境や労働など多くの倫理的課題を抱えています。たとえば、レザーやファーなど動物性素材を採取するために、動物は劣悪な環境で飼育されたり虐待を受けるケースも少なくありません。さらに畜産業では、水の大量消費や温室効果ガスの発生など環境に多大な負荷を与えます。

植物由来やリサイクル素材は動物を犠牲にせず、環境負荷を抑えての生産が可能です。ヴィーガンファッションは動物倫理や地球を守り、未来へとつながるファッションなのです。

ヴィーガンファッションで使われる代表的な素材

ヴィーガンファッションで用いられる主な素材には、植物由来や人工素材があります。動物を使わず、環境にも配慮されているのが特徴です。

・オーガニックコットン：化学薬品の使用を抑えて作られた綿
・海藻繊維（シーセル）：天然の海藻が練り込まれた繊維で生分解可能
・リヨセル（テンセル）：木材パルプが原料で生分解可能
・ヴィーガンレザー：動物の皮を使用せず、主に植物資源を使用した人工レザー
・リサイクルポリエステル：ペットボトルなどリサイクル素材からつくられるポリエステル

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ヴィーガンファッションの課題と選び方｜地球や動物を守る行動とは

ヴィーガンファッションをはじめ、エコな取り組みをアピールするブランドや企業が増えていますが、具体的な取り組みを公表していない企業には注意が必要です。ここではヴィーガンファッションを選ぶ際のポイントを解説します。

グリーンウォッシュに注意しよう

本当は環境にやさしい取り組みや製品づくりを行っていないのに、エコな取り組みをしていると装う手法が「グリーンウォッシュ」です。

ヴィーガンファッションでは、動物由来の素材を使用していないとアピールしながら環境負荷の高い合成繊維を使用していたり、リサイクル素材をごく一部しか使用していないのに「環境にやさしい」とアピールしていたり、といった事例があります。

サステナブルやエシカルが叫ばれる昨今、企業イメージ向上のためにグリーンウォッシュを行う企業があるのも事実です。消費者がグリーンウォッシュを見極めるのは難しいですが、正しく判断するための最低限の基準を知っておく必要があります。

ヴィーガン認証マークをチェック

ヴィーガン素材の製品かどうかを見極めるには、洋服のタグで素材の確認をするとともに「ヴィーガン認証マーク」があるかどうかの確認も行いましょう。

ヴィーガン認証マークとは、第三者機関が製品を検査して「動物からできたものでなく、動物実験もしていない」と認めた証（あかし）です。以下の代表的な機関の認証マークがある製品は、信頼できる製品といえるでしょう。

・「PeTA」（アメリカ）：世界最大の国際動物愛護団体が認証
・「The Vegan Society 」　(イギリス）：PETAよりも基準が厳しい

第三者機関の認証を受けず、ブランド独自の認証マークをつくってアピールしている製品もあります。信頼性の高い機関の認証マークの有無を確認すると安心です。

ブランド公式サイトで取り組みを確認

ヴィーガンファッションを謳う企業・ブランドの理念や具体的な取り組み、数値目標などを確認しましょう。ブランドや商品が「エコ」「サステナブル」を謳いながらも、具体的な取り組みに関する情報がない場合もあります。

企業のホームページやSNSなどを確認すると、動物や環境保護に対する思いや取り組みが開示されています。疑問があれば、店舗スタッフや公式SNSなどで直接確認してみましょう。

参考：Shift C「グリーンウォッシングの見つけ方」

動物由来素材を使わない！ヴィーガンファッションブランドを紹介

多くの企業やブランドがエコな取り組みをアピールする中、特に精力的にヴィーガンファッションに取り組む企業をご紹介します。真のヴィーガンファッションを見極めるのが難しいという人は、ここでご紹介するブランドの製品を選ぶと安心です。

ステラマッカートニー｜ヴィーガンファッションの先駆者

「ステラマッカートニー」は設立当初からレザーやファーなど動物性の素材を一切使わず、おしゃれと高級感を兼ね備えたブランドです。

地球や動物にやさしい素材、たとえばリンゴの皮やキノコからつくられたレザー素材を製品づくりに採用。他にもカシミアは新毛ではなく廃棄されたカシミアを再利用したり、オーガニックコットンを活用するなど、環境に優しい素材を幅広く採用しています。

「動物や環境を守る」という考えを徹底し、社会的責任を実践するブランドです。

参考：Stella McCartney「MIRUM®」

Wills Vegan Store｜ヨーロッパ基準のヴィーガンブランド

イギリスでヴィーガンシューズの会社として設立された「Wills Vegan Store（ウィルズ・ヴィーガン・ストア）」は、動物の素材を使わず、できるだけ植物やリサイクル素材を使って靴や服をつくるブランドです。

たとえば、靴やバッグには主に植物の油とユーカリの木から作った裏地を使用。完全に生分解できるスニーカーも開発しており、今後も環境にやさしい素材を探求し続けると明言しています。

デザインはシンプルで、価格帯もブーツが2万円前後〜と日常生活に取り入れやすいのもポイントです。

参考：Will’s Vegan Store「倫理と持続可能性」

LOVST-TOKYO｜アップルレザー製品を展開

「LOVST TOKYO（ラヴィストトーキョー）」は、廃棄リンゴから生まれた植物由来のヴィーガンレザーを始め、野菜やフルーツをアップサイクリングした製品を展開するライフスタイルブランドです。

アップルレザーの素材は、調達にかかる二酸化炭素排出量も考慮し青森県から調達。従来の合成皮革よりも石油原料の使用を抑え、環境への配慮がなされています。

おしゃれのために動物や環境を犠牲にしたくない、といったサステナブル思考の高い消費者に寄り添った製品を展開するブランドです。

参考：LOVST TOKYO「LOVST TOKYOの国産アップルレザー」

まとめ｜ヴィーガンファッションを取り入れ動物や環境保護に貢献しよう

人間のエゴのために動物や環境をないがしろにする行動は止めよう、という意識が高まるファッション業界では、ヴィーガンファッションにも注目が集まっています。

ヴィーガンファッションは、レザーやウールなど動物由来の素材を使わず、植物や人工素材で作られた服や小物を身につけるスタイルを指します。「安いから」「流行っているから」といった理由で買い物をするのをやめ、環境や動物保護に積極的に取り組むブランドの衣類を購入しましょう。

私たちの何気ない選択が動物倫理や環境に多大な影響を与えるのです。まずは衣類購入時にタグを確認したり、ブランドの背景を知ることから始め、生活にヴィーガンファッションを取り入れてみましょう。