アパレル業界に知って欲しい!古着を海外へ輸出する方法と3つのメリットとは?

セールでも売り切れない不良在庫は、倉庫に保管しているだけでも管理コストがかかってしまうため、どう処分してよいのか頭を悩ませているアパレル業界は少なくありません。売れるチャンスを逃さないために現状の生産体制は大切ですが、最終的に焼却処分をするという選択肢はできるだけ避けたいですよね。
そこで今回は、古着を海外へ輸出する方法をご紹介します。アパレル業界で実践すれば、ただの在庫処分という解決策ではなく、海外への進出をきっかけに、ビジネスチャンスをつかむことができますよ。
目次
年間どのくらいの古着が海外へ輸出されているの?現状と課題

まず、国内における衣類ロスの現状や国内のリサイクルの実態をみてみましょう。年間にどのくらいの古着が海外へ輸出されているのでしょうか。
深刻になっている衣類ロスの現状とは?
衣類ロスとは、未使用だったり、まだ着れる衣服にもかかわらず捨てられてしまうことです。日本国内だけでも、年間約15億着もの衣類が廃棄処分されているといいます。廃棄量にして約100万トン。
ファストファッションが浸透したことで、一枚あたりの価格が安いため消費者が手軽に購入できるようになったことも要因のひとつです。個人で廃棄する衣類の多さも問題になっていますが、業者が抱える在庫としての衣類の廃棄も深刻な環境問題になっています。
リサイクルされる古着はわずか14%!?
環境省によると、消費者から手放された衣類のうち、リサイクルされるのはわずか14%。また、リサイクルショップなどで再販、あるいはお下がりに譲るなど、リユースされるものが20%です。
衣類はさまざまな原料から作られていますが、まだまだリサイクルの技術が追いついていないのが原因です。最終的に捨てられた衣類の66%が埋立地や焼却施設で処分されています。焼却処分をすると、大気汚染・有害物質の排出などの環境問題につながるのです。
古着の海外輸出でリユースすることも
リユースされる20%の古着の中には、海外へ輸出されるものもあります。2005年は10万トンを突破して以降右肩上がりで、2021年には225万トンにも増加しています。
またおもな輸出相手国は、マレーシア、韓国、フィリピン、カンボジアなどの東南アジア諸国です。
古着を海外へ輸出することで得られる3つのメリットとは?

古着を海外へ輸出すると、どんなメリットがあるのでしょうか。最近は環境問題に敏感な消費者も多く、余った衣類を廃棄していると「環境問題に無頓着だ」という企業イメージを持たれるかもしれません。海外輸出の検討は、今アパレル業界に求められているサスティナブルな取り組みにもつながりますよ。
「ユーズド・イン・ジャパン」はアジアで人気
日本の古着は東南アジアの国々では、「ユーズド・イン・ジャパン」とよばれ、とても人気があるアイテムです。高い技術と厳しい品質管理をされた日本製品は、世界的にも信頼されているからですね。
また、体型的にも日本人と似通っているアジア諸国ではとくに需要が高いと予想されます。
販路の拡大につながる可能性がある
実際に、国内の古着ショップで海外に進出するという事例もすでにあります。東南アジアなどの工場で古着を選別し、さらに別の数カ国で再販するなどしているようです。廃棄するとコストがかかってしまいますが、古着を海外に輸出すると売り上げにつながります。
国内販売にこだわらず、海外への輸出を検討してみると販路が拡大する可能性もありますよ。いちど、現地調査や市場調査をおこなってみてもよいかもしれません。
サスティナブルな取り組みに貢献
衣類の大量廃棄は、埋立地や焼却施設までの運搬や、焼却のさいに多くのCO2を排出してしまいます。海外へ輸出して再販することで、環境負荷を削減することができますよ。
もともと、アパレル業界は生産時にたくさんの資源やエネルギーを消費してしまうため、他業界よりもサスティナブルな取り組みが必要とされています。サスティナブルな取り組みが世間に知られると企業イメージもアップすることでしょう。
参考:GD Feak!「中古の衣類およびその他の物品の輸出動向」
古着の海外輸出は不良在庫を抱えるデメリットも解消!?

不良在庫は利益の損失につながりますよね。古着を海外へ輸出することは、アパレル業界が不良在庫を抱えるデメリットを解消してくれます。コストの大きな削減につながりますよ。
在庫管理などのコストが削減できる
ワンシーズンで売れなかった商品は、来シーズンに持ち越して販売するために倉庫に保管することも多いですよね。しかし、流行に左右されやすいファッションアイテムは、時間が経てば経つほど売れる可能性は低くなります。
また、不良在庫の管理にもコストがかかります。保管や棚卸にかかる人件費や、倉庫のレンタル料などです。また、焼却するにしても費用が発生します。仕入れにかかった資金を回収できないばかりか、経営を圧迫してしまう恐れもあります。
ブランド価値を損なわない
アパレル業界の売れ残りを、第二流通業者に販売する方法もあります。しかし、いわゆるバッタ屋と呼ばれる業者は、通常の価格より安く販売するため、ブランド価値を毀損されてしまう恐れもあるのです。そのため、国内ではタグを付け替えて販売する業者も増えています。
しかし、海外に輸出してしまえば、ブランドの価値を気にすることはありません。よほど有名なブランドではない限り知っている人はまずいないからです。
まとめ|古着を海外へ輸出するメリットや今後の可能性
アパレル業界が頭を悩ませる不良在庫の問題は、海外に輸出することで解決するかもしれません。売れ残りをいつまでも倉庫に保管していてはコストの無駄になってしまいますよ。
実際に東南アジア諸国では、日本の古着需要があり、海外への輸出量は今後も増えていくと予想されます。国内販売にこだわらないことで、販路を拡大するチャンスにもなり、ブランドのイメージを損なうこともありません。また、大量廃棄を避けることで、環境負荷を削減できるなど、サスティナブルな取り組みができますよ。