古着の販売は、「簡単で誰でも行うことができる」というイメージを持つ方が少なくないでしょう。じっさい、仕入れて販売するという形は人気の高いビジネスです。

しかし、古着を販売する資格などについて事前に調べる必要があります。無許可で行った場合は罰せられるおそれがあるからです。

古着の販売における資格は「古物商許可」というものが必要になるとされています。本業・副業、その他条件問わず「古物商許可」が必要なのか理解しておきましょう。

今回は、古着の販売における資格の必要性と資格と申請方法についてご紹介します。

古着の販売は資格があれば誰でも簡単にできる?手軽にスタートできる理由は?

古着の販売における資格を知る前に、なぜ古着の販売が手軽に始めやすいのかを確認します。メリットを理解することでより資格の準備の必要性を理解できるでしょう。

中古品だから低資金で始めやすい

古着の販売は、自ら洋服を作ることはなく、既存の服を仕入れて販売します。新品の服ではなく、中古品の服のため仕入れにかかる金額が少ないので、低資金でビジネスを始めることができます。

また古着は利益率が転売系のビジネスと比較すると高い傾向にあります。60%以上の利益率も見込めることから古着の販売や古着屋の経営は魅力のあるビジネスです。

参考:ReCORE・【古着屋経営】市場動向やデジタル化手法・業績向上のポイントを紹介!

どこでも仕入れることができる

古着の場合は中古品のため、比較的簡単に、かつ全国どこでも仕入れを行うことができます。リサイクルショップなどの実店舗に限らず、最近ではネットを利用して購入することもできます。また、海外のからの仕入れにおいても代行を利用することで効率よく仕入れることも。

地域関係なく仕入れができ、ビジネスとして実践できるのが古着の販売に関する魅力の1つです。

国家資格や専門知識が問われない

確かに、古着やアパレルに関する知識があることは大切です。ですが、副業として始めたり、開業するだけであれば即時に美容師や柔道整復師のような国家資格、専門知識が問われないのも事実です。

もちろん、古着の販売における資格は必要になります。ですが、開業までの道のりは他のビジネスよりハードルが低いです。ハードルが低いことを理由に挑戦し、徐々に知識をつけていくのも1つの手段。また、古着やアパレルの知識があるスタッフや知人を近くに置くことも事業の支えになるでしょう。

古着の販売に資格がないと法律違反になる?申請方法や必要なもの

古着の販売は、資格を取得していない状態で行うと法律違反になる場合があるため、必ず資格を取得してから行うようにしましょう。

古着の販売には古物商許可が必要

古着の販売を行う前に資格を取得しましょう。

中古品である古着を販売ビジネス目的で仕入れし、転売するため「古物商許可」という資格が必要です。資格が無い状態で販売を行えば法律違反になり、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられるおそれがあります。

また処罰を受けてしまうと、5年間は古物商許可を取得することができないので、古着販売を始める前に必ず古物商許可を取得しておくようにしましょう。

古物商許可の申請方法

古物商許可の申請に必要な書類は以下の通りです。

・古物商許可申請書
・略歴書
・契約書
・本籍が記載された住民票
・URLの使用権限があることを疎明する資料(該当する営業形態のみ)
・身分証明書(免許証や保険証など一般的な身分証明書ではなく「被後見人、被保佐人、破産者」ではないことの証明書)

上記を用意し、自宅でネットを利用して古着販売を行う場合は、自宅の住所が管轄の警察署へ申請を行ってください。

もし他県に事務所を構えて古着販売をするのであれば、各都道府県ごとに古物商許可を取得する必要があるためその都度申請を行う必要があります。また古物商許可申請には19,000円かかり、申請が通らない場合でも返金されないので注意しておきましょう。

参考:警視庁・古物商許可申請をされる方へ

参考:警視庁・古物許可申請

申請後に生じる3つの義務

古物商許可を取得すると以下3つの義務が生じます。

・商品の買取時の本人確認
・取引時の情報記録
・盗品など不正品の申告

特に「本人確認」と「取引情報の記録」の義務を怠った場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるため、古着販売する際はきちんと守らなければなりません。

また盗品などの不正品が見つかった場合でも、懲役や罰金を科せられることはないですが、申告を怠ると古物商許可の取り消しや、営業停止などを受けるおそれがあるため警察に申告しましょう。

古着の販売の注意点|資格不備以外のよくあるトラブルや違反

古着の販売には資格として「古物商許可」が必要です。ですが、取得したからといって安心してはいけません。古着販売には古物商許可の未取得以外にも守らなければならないルールや、やってしまいがちな違反があります。

特定商取引法は個人であっても守らないといけない

古着の販売をインターネット上で行う場合、個人であっても利益目的で何度もインターネット上で取引を行う人に該当するため「特定商取引法」を守らなければなりません。

・事業者の名前、住所、連絡先の表示
・取引から8日以内の解約や返金

特定商取引法に定められたルールを守る必要があります。社会一般、企業・事業者として必要最低限の法律は抑えましょう。

ネットサービスの運営が定めたルールは厳守

ネットサービスを利用して古着販売を行う際は、アカウント停止などのペナルティを受けるおそれがあるため運営会社が定めたルールを守りましょう。

運営会社からペナルティを受けないよう、ネットサービスを利用して販売する前に、しっかりとガイドラインの確認をしておくことが大切です。

古着販売でやってしまいがちな違反

偽ブランドの販売…古着販売ではブランドの古着を仕入れることもありますが、市場に出回っている古着の中には、偽物も混じって販売されている時もあります。偽物だと知らずに仕入れてしまい販売した場合でも、商標法違反で逮捕されたケースもあるので注意しましょう。

無在庫転売…ネットサービスの中には「無在庫転売」が禁止になっているサイトも多く、トラブルの原因になりやすい販売方法です。法律的には違反ではないですが、禁止しているサイトで行うとアカウント停止などのペナルティを受けます。

古着の販売に必要な資格のまとめ

古着の販売には資格が必要で、古物商許可を取得するためには警察にて申請する必要があります。自宅以外にも他県などで事務所を構える場合などは、各都道府県ごとに申請手続きしなければなりません。

また古物商許可を取得できても特定商取引法や、ネットサービスの運営会社が定めたガイドラインなどのルールも、守らない場合には罰せられるおそれや、ペナルティを受けることもあるためきちんと守るように心がけましょう。