服を捨てる前にリデュースできることは?実践できる方法と企業の取り組み

環境意識が高まる中、「リデュース」という言葉はなんとなく知っているけれど、実際何をすればいいのかわからない人もいらっしゃるでしょう。特に衣類に関するリデュースは、環境保護において重要な取り組みです。
今回は、不要になった服を捨てる前にリデュースできることの具体的な方法や、企業が進める取り組みをご紹介します。
環境用語は難しく、個人で行うにはハードルが高いと感じるかもしれません。リデュースできることを実践すると、環境だけでなくお財布にも優しくなります。毎日の生活の中で、できることを知っておきましょう。
目次
リデュースできること|必要な理由と知っておきたい基礎知識

ファッション業界では、大量生産・大量消費による環境への影響が深刻な問題となっています。私たち消費者が、環境を守るためにできることの一つにリデュースがあります。リデュースできることの具体的な行動を知る前に、まずはおさえておきたい基礎知識を解説します。
リデュースは環境保護に必要な3Rの一つ
「3R」は、環境保護を目的とした以下の3つの取り組みを指します。
・Reduce(リデュース): ごみや資源の使用量そのものを減らす
・Reuse(リユース): 使い終わったものを再利用する
・Recycle(リサイクル): 廃棄物を資源として再利用する
3Rの最初のステップは、不要なものを出さない「リデュース」です。リユースやリサイクルは、それぞれのプロセスでコストやエネルギーがかかるのに対し、リデュースはその前の段階でのムダを抑えられるため、環境問題の根本的な解決策となります。
衣類廃棄問題とその環境負荷
近年はファストファッションの影響で、安く手軽に服を手に入れられるようになりました。しかしその結果、短期間で衣類を手放す傾向が強まり、廃棄量も増えています。
服を捨てる際には、以下のような多くの環境問題が発生します。
・焼却によって二酸化炭素や有害ガスが発生し、大気汚染や地球温暖化が加速
・埋立処分により有害物質が土壌や水に流れ出し、自然環境に悪影響
廃棄物の処分による環境負荷を軽減するために、リデュースは最も効率的な方法です。
衣類廃棄量削減への第一歩
衣類廃棄を減らすには、企業の努力はもちろん、私たち一人ひとりの心がけが大切です。
「不要なものは買わない・手にしない」と意識するだけで、不用品の発生は大きく抑えられます。また「本当に必要な服だけをじっくり考えて購入する」といった行動により、需要と供給のバランスが保たれ、生産過多も防げるようになります。
【アパレル企業の取り組み】リデュースできることの具体的事例

衣類産業が抱える環境問題に対処するため、多くの企業がリデュースできることに取り組んでいます。ここでは、企業が実践しているリデュースできることの具体的な事例をご紹介します。
リペアサービスで愛着を深める
購入した服や靴などの修理やリメイクを提供する企業があります。ユーザーが製品に愛着をもち、長く使ってもらうための取り組みです。
一つの製品を修理しながら大切に使うと、新しいものに買い替える必要がなくなり、結果として廃棄物の削減につながります。
参考:ELEMINIST「洋服のリペア(修理)サービスがあるブランド10店 メリットや求められる背景とは?」
衣類回収で手軽に環境保護
店頭に不要な衣類を回収するボックスを設置し、リサイクルやリユースを進める企業が増えています。
中には、衣類を持ち込むと次回使えるクーポンが発行されるブランドもあり、気軽に参加できるのが特徴です。自社製品だけでなく、他社の衣類も対象にしている企業もあります。
参考:Shift C「いらない服を捨てる時どうする?衣類回収ボックスまとめ」
衣類のシェアで循環モデルを実現
月額制で洋服をレンタルできるファッションシェアリングサービスも注目されています。プロのスタイリストが選んだアイテムのレンタルにより、新たな購入を減らし、衣類の循環型利用を実現。
返却された洋服は、検品・クリーニングを経て再利用されます。気に入った洋服は購入も可能で、本当に必要なものだけを手元に残す選択も可能です。
参考:循環経済パートナーシップ「脱炭素と衣服廃棄削減を実現する普段着のファッションシェアリングサービス」
今日からできる!日常生活で服のリデュースできることを紹介

衣類のリデュースに関して重要なのは、購入した製品を最後まで大切に使い続けることです。長く大切に使うために、私たちはどのような行動をとるべきでしょうか?すぐに実践できる、リデュースできることの具体的な方法5つをご紹介します。
①長く使えるものを買う
多少高価でも、できるだけ上質なアイテムを選択しましょう。質のよいアイテムは耐久性があり、定期的に新しいものに買い替えるよりも結果的にコストパフォーマンスがよくなります。さらに、トレンドに左右されないシンプルなデザインを選ぶと、長く愛用しやすくなります。
②購入前に一度考える
本当に必要か、本当に欲しいものか、買う前に少し立ち止まり考えるクセをつけましょう。特に、ファストファッションやセール品は、衝動買いをしてしまいがちです。手持ちの服との相性やサイズもしっかり確認すると、無駄買いを防げます。
③こまめなケアとリペア
衣類は、それぞれの素材に適した洗濯や保管を行うと、長くきれいに愛用できます。また、糸のほつれや小さな穴ができた場合、自分で直すか専門の修理サービスを利用しましょう。早めにメンテナンスを行うと、ダメージを最小限に抑えられます。
④不要な服はリユース・リサイクルへ
まだ着られるけれど不要になった服は、人に譲ったり、古着店に持ち込むのがおすすめです。回収ボックスやリサイクル資源として出すと、新しい部品や製品に再生される可能性もあります。
⑤古着を購入する
新しい服を買う前に、古着の購入を検討しましょう。衣類の再利用は、不用品の削減につながります。他にも古着には、独特の風合いやデザインだけでなく、品質のよいアイテムを安く手に入れられるといったメリットもあります。
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まとめ|リデュースできること…まずは意識や行動を変えてみよう
ファッション業界では、衣類の大量廃棄問題が深刻化しています。持続可能なファッションの実現に向け、企業と消費者がともに取り組むべき課題です。
環境保護を目的とした取り組みを指す「3R」の一つにリデュースがあります。リデュースは、私たち一人ひとりが日常の中で取り組みやすく、高い効果が期待できます。
まずは「必要なものだけを買う」という意識をもつことからスタートしてみましょう。企業が行うリデュースの活動を積極的に利用し、無理なくリデュースできることから始め、環境保護に貢献していきましょう。