ファストファッションは寄付できる?個人・法人が取り組める方法とは

ファストファッションは、トレンドが入っていて低価格のため、誰でも気軽に購入できるメリットがありますよね。しかし、一度も着ることなく捨てられてしまう衣料が増え、大きな環境問題を引き起こしています。不要となったファストファッションをどのように活かすことができるのか、考えていかなくてはいけません。
そこで今回は、誰かのために役立つようにファストファッションを寄付する方法をご紹介します。また、昨今では国やアパレル業界でも衣料ロスを解消する取り組みが求められています。消費者・生産者として、資源を有効活用できる方法を知っておきましょう。
目次
なぜファストファッションを寄付する方法が重要なのか?
ファストファッションが主流になってきたため、手軽にたくさんの服を楽しめるようになった方が多いでしょう。アパレル業界側もトレンドを取り入れた商品を展開できるようになりました。なぜ、今ファストファッションを寄付する方法が注目されているのでしょうか。
毎年48万トンの衣類が廃棄
総務省の調査によると、消費者が着なくなった服の処分方法として、資源回収されるのは30%に満たないといいます。約7割近くが可燃・不燃ゴミとして焼却処分や埋め立てられているのです。その量は年間48万トンにものぼります。
生産・廃棄ともに環境に悪影響がある
服を一着作るのに必要な水はお風呂11杯分、二酸化炭素の排出量は500mlのペットボトル255本分といわれています。たくさんの衣類を作るのは、それだけ環境を破壊したり汚染したりするのです。
衣服を処分するには、焼却や埋め立てが行われます。しかし、焼却をすれば二酸化炭素や有害物質が排出され、埋め立てには場所が必要です。
生産・廃棄ともに環境に悪影響があるため、ファストファッションとして作られた衣類を寄付する方法やリサイクルする方法に注目が集まっています。
ファストファッションを回収して寄付する3つの方法
個人で不要となった衣服は捨てずに寄付することができますよ。ファストファッションの回収先や寄付の方法を3つ紹介します。取り組みやすい方法を見つけてみてくださいね。
大手ファストファッションブランドの回収ボックスへ
大手ファストファッションブランドでは、店舗に回収ボックスを設置するようになりました。リユースできる状態のものは、難民キャンプや被災地への支援として、必要としている人へ寄付されたり、新しい商品としてアップサイクルされたりします。また、リユースできないものも、リサイクル素材や燃料として再利用されますよ。
・ユニクロ/GU:洗濯後に店舗の回収ボックスへ持ち込みます。自社商品のみ取り扱う。
・H&M:自社製品以外の古着、汚れや破損があってもOK。
・無印良品:自社製品およびタオルやシーツ・カバー類を店舗にて回収。
NPO団体や自治体を通して寄付する
NPO団体を通じて寄付するのも1つの方法です。古着そのものがリユースされるだけでなく、日本国内のフリマで販売や、途上国の古着販売業者へ卸した収益を、支援金として活用している場合もあります。
また、自治体では古着を資源ごみとして回収しています。大量に不要の古着がある場合には、不用品回収業者に依頼して自宅まで引き取りにきてもらうのもよいでしょう。回収されたものは、リサイクルショップで再販されたり、工業用ウエスとしてリユースされたりします。
施設に直接届ける
ファストファッションを寄付しても、誰のために活用されているのか不安なら、必要としている施設に直接届けましょう。子供服はサイズアウトしてしまうため、児童施設や養護施設での需要は高いです。また、最近では保育園や幼稚園でも、積極的にリユース活動をおこなっています。
参考:総務省「サスティナブルファッション」
ファストファッション業界が寄付やリサイクルをする方法は?
昨今では、サスティナブルな企業からしか購入しないといった、エシカル消費に移行しつつあります。消費者がファストファッション業界の取り組みに注目していて、その評判によって購買意欲が左右される場合もあります。
フランスでは衣料ロスの廃棄が禁止に
フランスでは2022年1月から、売れ残った衣類の廃棄禁止法がスタートしました。アパレル業界に寄付やリサイクルが義務化されたのはこれが世界で初めて。さらに、2023年12月にはEUでも同様の法案が合意されました。
業界としても、過剰供給による環境負荷をできるだけ軽減し、必要なものを必要なだけ生産する動向が強まっていくでしょう。
繊維リサイクルへの取り組み
衣類は単体の素材で作られていることは稀なので、これまでリサイクルが難しいといわれてきました。しかし、各国では複合素材にも対応したリサイクルの技術開発が進んでいます。
また、日本における再資源化の技術では、繊維の総生産量の半分を占めるポリエステルを、従来の6割のエネルギーで石油由来の原料と同じレベルにリサイクルできるようになりました。
参考:帝人フロンティア「循環型社会の実現に向けたポリエステル繊維の新リサイクル技術を開発」
参考:GD Freak!「中古の衣類およびその他の物品の輸出動向」
衣料ロスを海外へ輸出する方法もある
ファストファッションブランドの売れ残りも、企業としては財産に違いありません。ですから、シーズンを越してしまったアイテムも廃棄せず、少しでも収益に繋げたいものです。
回収業者やリサイクルショップを通じて海外へ輸出される衣類が増えています。2021年には22万トン、金額にして92.4億円を計上。日本の古着は、品質が良いことからアジア諸国で需要があるからです。
これまでは、売れ残った衣類は二次流通業者に卸すのが一般的でしたが、需要のある国へ輸出することもおすすめです。海外への販路拡大にもなるでしょう。
まとめ|ファストファッションを寄付する方法は個人・法人ともに大事
大量生産されているファストファッションを寄付する方法は、個人や法人を問わず重要です。着なくなった服を寄付すると、衣類の大量廃棄を防ぐことができます。
余剰生産が一般的なファストファッションブランドやアパレル業界における、衣料ロスに向けた取り組みも注目されています。リサイクル技術を開発したり、必要なものを必要なだけ生産したりする必要があるでしょう。また、海外には古着の需要が高い地域があるため、海外へ輸出も検討してもよいかもしれません。