近年、地球や環境に配慮した「エシカルな暮らし」が注目されています。しかし、環境に配慮した商品は高い、手間のかかる生活は難しい…などとハードルを感じている方も多いのではないでしょうか

日々の生活を無理なく工夫するだけでも、エシカルな暮らしは実現可能です。環境や社会を考えた暮らしを始めるために役立つ、エシカルの意味や地球環境や労働問題に与える影響、生活に取り入れやすい簡単な3つのアイディアについて紹介します。

エシカルな暮らしとは?意味やサスティナブルとの違いは?

エシカルな暮らしを実践するために、概念を正しく理解するところから始めましょう。どういった考え方なのかを理解できれば、暮らしの中での選択にも役立ちますよ。また最近聞くようになった「サスティナブル」との違いについても紹介します。

エシカルの意味は「倫理的・道徳的な」

エシカルは、英語の「ethical」からきています。直訳すると「倫理的」「道徳的な」という意味で、「エシカルな暮らし」は自分や社会、地球環境に配慮されたものを意識して購入・消費する生活スタイルです。

日本国内でも消費者庁や環境省が「エシカル消費」「倫理的消費」などのキーワードで啓蒙や取り組みを続けています。

法的な縛りはありません。しかし、一人ひとりが商品が作られるまでの社会問題や廃棄された後の環境への影響を考え、意識を変えていくための判断基準として注目されています

参考:消費者庁・エシカル消費とは

エシカルな暮らしはサスティナブルな社会につながる

エシカルと似た言葉に、「持続可能な」の意味を持つ「サステナブル(Sustainable)」があります。近年、地球環境への意識の高まりとともに耳にするようになったと感じる方もいるのではないでしょうか。

エシカルとサステナブルはともに、人や社会、地域、環境がより良い状態になるよう目指している点で共通しています。しかし、サステナブルは「未来の目指すべき姿」、エシカルは「一人ひとりの考え方や行動規範」です。

消費者がエシカルな消費や暮らしを選択すれば、将来的にサステナブルな社会の実現につながると覚えておきましょう。

エシカルな暮らしは環境や社会にどんな影響を与える?

エシカルな暮らしは、私たちの生活と地球にどのような影響を与えるのでしょうか。代表的なものを環境問題への影響と労働問題への影響の2つに分けて紹介します。

環境問題への影響

エシカルな暮らしは、現在地球上で起こっている環境問題へ影響を与えます

例えば、大量生産・大量消費・大量廃棄が当たり前になった暮らしは、地球上の資源が過剰に使われる状態です。それが原因で地球温暖化や海洋汚染や、生態系の破壊、天然資源の枯渇、異常気象など複数の問題が深刻化していくでしょう。地球環境が悪化すれば、私たちは今までのように生活していけないかもしれません。

適切に資源を活用していくエシカルな暮らしは、ムダな生産や必要以上の消費を見直し、環境問題の深刻化を防ぎます

労働問題への影響

チョコレートやコーヒーなどの原材料を生産している発展途上国の人々は、不当な賃金で働いているのをご存じでしょうか。また、世界では子供が貧しさから学校にも行かず働いていたり、障がい者が不当に低い賃金で働かされていたりします。大量生産や大量消費の世界は、さまざまな労働問題に影響を及ぼしているのです。

しかし、エシカルな暮らしを通じ、公平な取引や賃金で生産された商品を選べば、労働問題の解決につながります。一概に「安い商品」が悪いわけではありません。ですが、消費者が生産される過程にまで思いを巡らせられれば、地球上のすべての人々が幸せになれる可能性があるのです。

今日から始められる!エシカルな暮らしのための3つのアイディア

環境に優しいアクションをおこなう、エシカルな暮らし。まずは実践しやすい簡単なものから生活に取り入れることが大事です。エシカルな暮らしの第一歩を踏み出しましょう。

買った食材を余さず使い切る

まだ食べられる食品を捨ててしまう「食品ロス」。令和4年度は年間472万トンの食品ロスがありました。これは、日本国民全員が毎日おにぎりを1つずつ捨てているのと同じくらいの量です。

食品ロスを減らすには、本当に必要なものだけを買い足すのが一番。買い物に行く前に、冷蔵庫の中の食材をチェックしてムダな食材を増やさないように気をつけましょう。また、新しく買った食材は奥に、古いものを手前に置いて管理したり、冷凍保存を活用して食品を長持ちさせるのも賢い方法の一つです。

ゴミを減らす、エシカルな暮らしの第一歩を踏み出しましょう。

参考:消費者庁・食品ロスによる経済損失及び温室効果ガス排出量の推計結果

マイボトルやマイバッグを持ち歩く 

海洋プラスチックごみの増加にもつながると言われている、ペットボトルやビニール袋。日本では、ペットボトルの回収率が94%と非常に高い水準を誇っています。しかし、再びペットボトルにリサイクルされている割合は20%と低い水準にとどまっているのが現状です。

例えば、大手コーヒーチェーンではマイボトルの持参によりコーヒーを通常よりも安く提供しています。日常的にカフェを利用する方にとって、マイボトルは環境だけでなく経済的にも良い取り組みではないでしょうか。

環境のためにはできる限りプラスチックの購入を控え、繰り返し使えるマイボトルやマイバッグを持ち歩くようにしたいですね。

参考:BRING BOTTLE コンソーシアム

洋服はリサイクル・リメイクする

環境省の調べによると、2022年度に捨てられた衣服の量は約45万トン。着数にすると、17億7000万着以上で、1日に換算すると約1,200トンです。これは、大型トラック120台分に相当します。

廃棄される洋服を少しでも減らすために、リサイクルを利用するのはいかがでしょうか。欲しい服をフリマアプリを利用して探し、不要になった服はリサイクルショップに持ち込めば、服を服として再利用し続けられます

日本でも、昔は着物を何度もリメイクする文化がありました。ボロボロになった服も、インテリア小物にリメイクしたり掃除に使ったり、最後まで使えないか考えてみましょう

参考:環境省・サステナブルファッション

まとめ|エシカルな暮らしは難しくない!今日から実践してみよう

エシカルな暮らしとは何か、地球環境や労働問題に与える影響と今日から生活に取り入れられる簡単な3つのアイディアを紹介しました。

エシカルは「一人ひとりの考え方や行動規範」で、法的な縛りはありません。しかし、一つひとつの選択が環境問題や労働環境の改善につながっていきます。

エシカルな暮らしは難しくありません。紹介したアイディアから日常生活の中にあるさまざまな「使い捨て」を見直し、環境に配慮した生活を始めてみませんか?