「古着を処分したいけど、捨てるのはもったいないから寄付しよう」このような考えを持つ人も多い事でしょう。しかし、善意で行う古着の寄付が、現地で迷惑になっている現状を知っていますか?

例えばアフリカには世界中から古着が届けられ、現地は古着で溢れかえっている状態です。

そのような場所に日本からの古着の寄付は本当に必要でしょうか?

本記事では、善意の寄付が迷惑にならないよう、古着寄付の問題理解と正しい古着の処分方法をお伝えします。服を国内でリユースし、サスティナブルな方法で処分できるようになりましょう。

古着の寄付は迷惑⁉必要ない⁉発展途上国の現状を理解しよう

「アフリカなどの発展途上国は衣服が足りてなくて困っているのでは?」と思う人も少なくないと思います。確かに、貧しい国の子どもの写真を見かけると古着を寄付して助けたいという感情が生まれます。しかし、発展途上国の現状は私たちが思っている状態とは異なります。寄付する前に現地の状態について理解を深めましょう

発展途上国には大量の古着が存在する

実は、アフリカなどの発展途上国には、すでに大量の古着があります。アメリカやドイツ、イギリスなどの先進国から何万トンもの古着が輸出されているのです。

<2016年古着の輸出量>

・アメリカ:75万トン
・ドイツ:50万トン
・イギリス:35万トン
・日本:24万トン

私たちが着なくなった服を寄付しても、現地には大量の古着があるため、着られずゴミになるだけの可能性があるのです。

寄付がビジネスに利用されている⁉

古着の輸出産業は、先進国の大きなビジネスの1つです。古着の輸出額は日本円で4兆円〜9兆円を超える規模になっています。

<2020年古着輸出額>

・アメリカ:7億1260万ドル
・中国:3億9750万ドル
・イギリス:3億2630万ドル
・ドイツ:3億1060万ドル
・日本:8820万ドル

善意で寄付した古着も、仲介者が買い取って海外に輸出し、利益を出している事があります。無償で寄付したつもりでも、誰かのビジネスになってる可能性がある事を覚えておきましょう。

現地のニーズを把握して正しい寄付を

古着を寄付する前に、現地のニーズを理解する必要があります。アフリカなどの発展途上国は何を必要としているのでしょうか?

<発展途上国が抱える問題>

・貧困問題
・水の汚染
・栄養不足

私たちができることは服の寄付よりも、現地の情報を正しく理解する事です。安易に古着を送ることで、本当に必要な物品の輸送を妨げる可能性もあります。不要になった服の処分は、寄付以外の方法を考えましょう。

古着の寄付が起こす迷惑な問題とは?現地の雇用や環境汚染

「古着の寄付は現地の人も喜ぶし、ゴミとして処分するより環境にも優しいはず」世間では、このような認識をされていると思いますが、現実は皆さんの想像とは違います。発展途上国では、古着が大量に送り付けられる影響で、環境問題の悪化や雇用の圧迫などの問題が生じています。古着が引き起こす問題について深堀していきましょう。

大量の古着が引き起こす環境問題

発展途上国には、年間数十万トンの古着が届けられます。ここまで大量の古着があると、着られずにゴミとして廃棄される古着が出てくるのです。古着の焼却や埋め立てによって環境汚染が進む事を覚えておきましょう。

<古着が起こす環境問題>

・古着の化学繊維が分解されず土壌汚染を引き起こす
・焼却の際に有毒ガスが発生し、環境汚染を進める

発展途上国では、ゴミ処理場が十分に機能していない状況です。そのため、環境問題を深刻化させないためにも、廃棄する古着の数を減らす必要があります

現地の雇用を圧迫する現実

大量の古着が送られてくるため、現地の人は、古着を安く購入することができます。アフリカの9割の人が古着を着ているというデータもあるほどです。

しかし、現地の人が古着を購入し続けることで、アフリカの繊維産業は衰退してしまいます。

<現地の雇用を圧迫する仕組み>

・古着を着る人が多く、新しい衣服を購入しない
・現地の繊維産業は衰退し、雇用も減少する
・働き口が少なくなったり、現地の繊維産業が発展しない

豊かな国が貧しい国に寄付をし続けると、現地の産業が発展しなくなります。私たちの寄付が現地の雇用問題まで引き起こしてしまうかもしれません。

参考:BE FORWARD「ケニア・タンザニアの1.162人に聞いた! 服やファッションについてのアンケート調査」

輸送コストも理解しよう

古着を寄付する時は、飛行機や船を使って海外に輸送します。様々なコストをかけてまで、発展途上国に古着を送る必要性はあるのでしょうか?

<輸出時の輸送コスト>

・船、飛行機を使う配送料や関税
・船や飛行機の燃料費(環境汚染も)
・関わる人への人件費

無償の寄付でも、仲介マージンで利益を得る人がいます。古着の寄付が迷惑にならないためにも、輸送コストがかかる背景も覚えておきましょう。

サスティナブルな古着の処分方法は?寄付で迷惑かけないために

大量の古着が発展途上国のさまざまな問題を引き起こしている実態を解説しました。そうなると、「不要になった古着はどう処分するのが最適か?」このような疑問を抱くと思います。最後に、古着の寄付で迷惑をかけないために、私たちができるサイティナブルな処分方法をお伝えします。

寄付する団体を選ぶ

古着を寄付する時には、その団体について理解することが大事です。例えば、紛争地域に迷彩柄の服が送られると、住民は不快に感じてしまいます。以下の項目をチェックしてから寄付しましょう。

<寄付する団体の選び方>

・宗教を加味しているか?
・現地の文化を理解しているか?
・中古衣料のマーケットを介してないか(寄付がビジネスになっていないか?)

善意が迷惑にならないよう、寄付する団体は事前に調べましょう

国内でリユースする

不要になった古着は、寄付するのではなく、国内でリユースする方法を選びましょう。海外に寄付しなくても、国内に古着を必要としている人がたくさんいるからです。国内でのリユース方法をまとめました。

<国内でのリユース方法>

・フリマアプリ、ネットオークションで販売
・地域のフリーマーケットでの販売
・国内の被災地へ寄付
・子ども服は子育て支援センターに寄付
・家族や友人にゆずる
・介護施設に寄付する(綿素材)

上記の方法を用いて、国内でリユースする方法を選択しましょう。実は、子供を育てる現場や高齢者施設でも古着を必要としている事があります。国外に古着を寄付して迷惑をかけるより、国内で必要としている人に届けられる方法を選択できると、よりサスティナブルといえるでしょう。

掃除に活用する

不要な古着は、掃除に活用することができます。ただ古着を処分するだけでは勿体ないと思う人も多いことでしょう。古着を掃除に活用する方法は以下の方法を参考にしてください。

<古着を掃除に活用する方法>

・フリース、タイツ、ストッキングはクリックルワイパーに
・肌着、Tシャツはコンロの掃除に
・ジーンズで硬い場所の黒ずみ落としに

掃除に活用する事で、処分する時の罪悪感も減ります。「勿体ないから寄付をしよう」という考えよりも、自分で使い切って処分する方法も検討しましょう。

まとめ|古着の寄付は迷惑になっているかも…サスティナブルな処分方法を

善意で古着を寄付しているつもりが実は、迷惑になっている場合があります。すでに発展途上国には大量の古着が輸出されており、現地は古着で溢れかえっているためです。

大量の古着の影響で、環境汚染や雇用の圧迫、繊維産業の衰退などさまざまな問題が起こっており、私たちはその事実を理解する必要があります。

発展途上国に寄付する前に、自国でリユースする手段を選びましょう。国内でも古着を必要としてる人はたくさんいますので、その現状も把握する必要があります。

安易な寄付をする前に、今一度各国の現状を理解して行動に移しましょう。