チリの砂漠に捨てられた服はどうなる?実際の活用法や個人でできる対策

私たちが再利用してもらおうと寄付やリサイクルに出した服は、その国でゴミとなり、処分に困っているかもしれません。実際に世界各地から古着が集まる南米チリでは、砂漠に服が大量に廃棄され、山のように積み重なっているのです。
服には化学繊維が使用されているため、分解されずにそのまま残り、環境問題や健康被害に影響を及ぼしています。
チリの砂漠に溜まった服は世界でも注目されており、活用していく動きがあるようです。そこで、個人でもできる対策を意識し、問題改善に取り組んでいきましょう。
目次
廃棄された衣類はどこに?チリの砂漠の服が引き起こす環境問題

世界各地から輸出された古着の多くは、チリに集まっています。しかし、集まった古着の全てが再利用されているわけではありません。チリの砂漠には、再利用されずに行き場をなくした大量の服が捨てられており、環境問題を引き起こす要因のひとつとなっているのです。
なぜ砂漠に服が溜まっているのか
チリには衣料品の関税が免除される自由貿易港があり、世界各地から年間6万トンもの服が集まっています。これらの服は、再利用のために南米各地の業者が取引を行っていますが、集まった服の6割は売れ残っているのが現状です。
売れ残った服は処分となりますが、焼却処分・埋め立て処分は禁止されています。そのため、処分の手間を省くために砂漠に服が捨てられることになったのです。
化学繊維が土壌汚染を引き起こす
石油を原料とする化学繊維が使用されている服は、分解されずにそのままの状態で残ります。そのため、服が砂に埋もれていき、土壌汚染の原因にもなっているのです。土壌汚染は人の健康や生活環境、生態系に影響を及ぼします。
火災による有毒ガスの発生も
服の山となっている場所では、何ものかが服に火をつけたことによる火災がたびたび起こっているといわれています。この火災によって有毒ガスが発生しているため、この地域で暮らす人々の健康被害の要因にもなっているのです。
実際に現地に行ったことがある方は、「プラスチックを燃やしたようなにおいがした」と語っています。
【参考文献】
チリの砂漠に溜まった服はどうなっている?活路はあるのか

チリの砂漠にある服は、全てがそのまま廃棄されているわけではありません。この地域に住む人が持って行ったり、再利用したりする動きがあります。チリの他にも服の廃棄が問題となっている国があるため、世界的にも衣類を活用する動きが出ているのです。
最貧困層の人が持って行く
チリの砂漠に溜まった服の全てがそのまま放置されているわけではありません。この地域に暮らす最貧困層の人々が、大量にある服のなかから自分に必要な服を持って行っているのです。また、捨てられている服のなかにはまだ着られるような服もあるため、売れそうな服を探して持っていく人々もいます。
再利用する動きもでている
砂漠にある服を拾う人々がいるといっても、拾える服の数には限界があります。そのため、ほとんどの服が砂漠に放置されたままです。そこで、ぼろぼろになって着られないような服を再利用する動きがでています。
処分された生地や服から、水も化学製品も使用せずに織り糸を生産しているのです。これまで放置されていた服の再利用は、環境問題の取り組みだけでなく、地域の人々に及ぼす健康被害の軽減にもつながるでしょう。
世界でも捨てられた服を活用する動きがある
世界でも捨てられた服に目を向けられるようになってきました。例えば、ドイツのアパレルブランドEMEKAでは、廃棄される予定の服をアップサイクルして新しい服やアクセサリーに生まれ変わらせています。
また、ヨーロッパでは売れ残った服を処分することが禁止されているのです。服は必要な分だけ作る方法に変化してきています。
参考:earth sustainability「リサイクル率トップを誇るドイツ|衣料品廃棄処分の現状は?」
チリの砂漠の服が再利用されても個人でSDGsを意識しよう

チリの砂漠に溜まった服の問題に対して、再利用される方法があるといっても、個人でも取り組まなければ、この問題は解決しません。SDGsを意識して、服の処分方法はもちろん、服を購入する際には本当に必要なものなのかを検討することが大切です。
SDGsの「つくる責任・つかう責任」とは
「つくる責任・つかう責任」は、SDGs17の目標のなかのひとつです。「つくる責任・つかう責任」では、持続可能な生産と消費のバランスをつくることが目標とされています。
そのためには、過剰な服の生産を減らしたり、再利用やリサイクルなどを意識することが重要となるでしょう。
服を捨てる時は分別をする
服を処分する際、まとめて可燃込みで処分している方は少なくありません。しかし、服にはさまざま素材が使用されているため、素材ごとに分別する必要があります。
服の素材の例として、綿・麻・絹は可燃込み、ポリエステル・ナイロン・レーヨンなどの化学繊維は不燃ゴミです。また、チャックやボタンなどは不燃ゴミとなるため、取り外して処分するとよいでしょう。
自治体によって分別方法が異なるため、細かい分別方法に関しては、自治体のHPを確認するのが大切です。
安易に服を買わない選択肢も
着ない服をリサイクルや回収に出すのは環境問題への取り組みにつながりますが、その服の行き先は服の山となっているチリの砂漠かもしれません。自分は環境によいことをしたつもりでも、結局環境破壊の問題となっていたり、その国の人々の健康に影響を与えている可能性があるのです。
そのため、安易に服を買わない・増やさないという意識を持つのが大切です。
まとめ|チリの砂漠にある服が環境問題を起こす…世界の取り組みとは
服を再利用してもらおうとリサイクルや寄付をしても、集まった服の処分に悩まされている国があります。チリの砂漠には世界各地から集まった服が大量に廃棄され、土壌汚染による環境問題が起こり、さらには健康被害が起こっているのです。
世界ではこの問題に対する取り組みが始まり、ヨーロッパでは売れ残った服を処分することが禁止され、ドイツのアパレルブランドでは廃棄される服をアップサイクルするなどの対策が行われています。
チリの砂漠に溜まった服が再利用されているとしても、個人で服の廃棄を減らす意識をもつと、問題の改善にもつながるでしょう。服を購入する際は、本当に必要なのかを検討し、安易に服を買わないことも大切です。