近年、世界的に注目されているのが「チリに集まる古着問題」です。日本を含む先進国で消費され、不要となった衣類の多くが最終的に南米チリへと流れ着き、環境負荷や社会問題を引き起こしています

単なる一地域の廃棄問題だけではなく地球規模の深刻な環境危機へとつながっている、南米チリの古着問題。その背景には、日本を含む先進国でのリサイクルの限界なども原因の一つとして含まれます。

チリが「世界の古着の最終地点」となっている構造を知り、日本の衣類消費とのつながりや、私たちができる取り組みについて考えていきましょう。

チリが「世界の古着の最終地点」になっている構造を理解する

安価で流行を追う服が大量に消費され、短期間で不要品となりチリへ古着が輸出されている現状をご存じでしょうか。

チリに世界中から古着が集中する背景には、自由貿易地域や市場構造の特殊性があります。

古着流通を加速させる自由貿易地域の存在

チリには「イキケ自由貿易地域(ZOFRI)」と呼ばれる南米最大級の特別経済区が存在します。この地域は関税が免除され、50年前からチリの中でも重要な輸出入の拠点とされており、世界中から大量の中古衣類が集まってくるのです。

アメリカやヨーロッパ、日本から輸出された古着は、この自由貿易地域を経由して選別され、国内外へ再販売されます。しかし、需要を超える量が流入するため、売れ残った衣類は行き場を失い、廃棄物として蓄積されてしまうのです。

チリ・アマカタ砂漠が投棄場所に選ばれる理由

売れ残った古着の多くは、イキケ自由貿易地域のそばにある、アタカマ砂漠に不法投棄されます。

・廃棄処理コストが非常に高い
・違法投棄の取り締まりが不十分
・見えない場所へ移す方が都合がいい

利益の出ない服は消費者の目から遠く離れた場所へと放置されるという構造が、作り出されています。

古着が環境に与える負荷

投棄された古着は、土壌や大気汚染の原因であるポリエステルなどの合成繊維。こうした衣類は自然に分解されることはほとんどありません。さらに、焼却処分される場合には有害物質が発生し、地域住民の健康や生態系に深刻な影響を及ぼす場合があります。

こうした環境負荷は、単なる「ゴミ問題」にとどまらず、地球規模の環境危機へとつながっているのです。

日本の衣類消費とチリの古着問題がつながっている理由

私たちの暮らす日本からは、はるか遠くにあると感じるチリの古着問題。しかし、日本国内のファストファッション文化や、リサイクルの現状とチリの古着問題には大きな関係があるのです。

ここでは、大量廃棄による構造と国内リサイクルの限界について考えていきましょう。

ファストファッション文化が生む大量廃棄の構造

日本では1990年代初頭からファストファッションが広く浸透。消費者は安価でトレンド性の高い衣服を大量に購入し、短期間で服を買い替えるようになりました。

環境省の調査によれば、日本からは年間約9万トン以上の衣類が海外に輸出されています。この消費構造が、海外への古着輸出を加速させる要因となっているのです。

参考:環境省「2024年版 衣類のマテリアルフロー」

国内リサイクルの限界が海外への廃棄につながる

日本国内でもリユースやリサイクルの取り組みは進んでいますが、現状では回収された衣類の多くが再利用されず、海外へ輸出されています。

国内市場では古着の需要が限られるため、余剰分は「資源」としてではなく「不要品」として国外へ流れてしまうのです。その行き先の一つがチリであり、日本の消費行動が直接的にチリの古着問題を悪化させている構造が見えてきます。

チリの古着問題を減らすために日本からできる取り組みを考える

チリの古着問題を軽減するためには、日本の消費者一人ひとりの意識改革が欠かせません

意識を変えるだけで、できる取り組みを考えてみましょう。小さな選択の積み重ねが、海外への過剰な古着輸出を防ぎ、持続可能なファッション文化の定着につながりますよ。

長く使える服を選ぶ意識を持つ

まず最も基本的な取り組みとして、長く着られる服を選ぶようにしましょう。品質が高く、流行に左右されない衣服を選べば、買い替えの頻度を減らし廃棄量を抑えられます。

飽きてしまったりサイズが変わってしまったりした場合には、リペアやリメイクを行うのも長く着るための一つの方法です。こうした意識の変化が、結果的に海外への不要衣類の流出減少につながります。

手放すときは国内で循環できる方法を選ぶ

不要になった衣服を手放す際には、なるべく国内で循環できる仕組みを活用しましょう。最近ではリサイクルショップやフリマアプリ、自治体の回収ボックスなどの利用率も上がっています。

さらに、企業や団体が提供する「回収プログラム」を利用して資源として再生させるルートもありますよ。あなたの一つの選択が、海外への過剰な古着輸出を防ぐ一歩となります。

まとめ|持続可能なファッションはチリの古着問題を考え減らす力になる!

チリに集まる古着問題は、遠い国の出来事ではなく、日本の衣類消費と密接に関わっています。日本にも広く根付いたファストファッション文化や国内リサイクルの限界が、チリの環境負荷を増大させているのです。

特に、国内で回収された古着の多くが再利用されずに、海外に輸出されていることが原因です。

あなたの「長く使える服を選ぶ」「国内で循環させる」などの行動の積み重ねが、持続可能なファッションの未来につながります。日々の小さな意識の変化が、地球規模の課題解決につながると覚えておきましょう。