【服の環境問題を考える】チリに溜まる古着から見えるファッションの課題
手放した衣服の多くが、チリに溜められているのをご存じでしょうか。着なかった服を寄付や回収に出すと、どこかで活用されていると考えがちです。しかし、実際は寄付先に大量に溜まり、環境問題を引き起こしています。
この記事では、チリに溜まる古着から、服の環境問題について解説します。古着の問題を解決するために、個人や企業が取り組めることを知っておきましょう。
目次
回収・寄付された服は使われていない…チリに届く古着の末路
服を処分する時、ゴミにするよりも回収や寄付に出した方が、罪悪感が少ないと感じる方が多いです。再利用されたり、配られたりしている古着もありますが、最近では衣服が飽和状態となり、環境問題を引き起こしています。なぜチリに古着が大量に届いて、環境破壊を起こしているのかをご紹介します。
以前はアジアの支援物資だった
古着は以前、カンボジアの支援物資でした。カンボジアは内戦や政治的な混乱により、国が安定せずに支援物資が必要だったのです。歴史的な背景から、カンボジアは世界中から古着が集まりやすく、現在では隣接するタイに、大きな古着市場や古着倉庫があります。
南米に売られる古着がチリへ
現在、服の支援はカンボジアだけでなく、南米でも行われるようになっています。チリは、衣類の関税がかからないため、世界中から売れ残りや寄付などの古着が集まるようになりました。
送られてきた衣類は南米各地で仕分けされ、再利用されていたのです。しかし、送られてくる衣服は多くなり、2021年にはチリのイキケ港に46,285tの服が到着。供給量が需要量を大きく上回ったため、古着が砂漠に捨てられる事態になっています。
他国でも古着があふれている現状
古着があふれているのは、チリだけではありません。アフリカのウガンダにも古着が送られていましたが、2023年9月に衣類の輸入が禁止されました。他国から送られてきた安い中古衣類が、大量に出回ったため、自国の繊維産業が発展できなくなったためです。
服を寄付したり、回収に出したりする行為は、一見するとリサイクルですが、量が多すぎると他国の環境や産業を破壊することに繋がります。
チリの砂漠が古着であふれている原因と注目すべき環境問題
チリの砂漠には、航空写真で確認できるほどの古着が捨てられているのです。なぜ、チリの砂漠に古着があふれているのでしょうか。関税がかからない他にも、理由があります。また、砂漠に捨てられた古着が起こす環境問題を具体的に解説します。
ファストファッションの影響が大きい
1990年代から2000年代初頭にかけて加速し、現在のような大量生産・大量消費のビジネスモデルとなったのが、ファストファッションです。技術や物流の発展により、デザインから販売までを効率良くできるようになった背景があります。
消費者は、トレンドの商品を安く手に入れられるようになり、まだ着られる服があっても次々と購入するようになりました。その結果、まだ着られるけれど処分する服が大量に出てきて、回収や寄付として送られるようになったのです。
リサイクルできない古着が送られてくる
チリの砂漠には、リサイクルできない古着も捨てられています。ボロボロの衣服が送られてくるため、商品にできず、捨てるしかないのです。ゴミ同然の服は、焼却処分しなければなりませんが、古着が大量に送られてくる国の大気汚染となります。
土壌を汚染する服が問題に
砂漠に服が捨てられているだけだと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、化学繊維は分解されないため、土壌汚染の原因となっているのです。
ポリエステル・ナイロン・アクリルなどの化学繊維は、自然環境では分解されにくく、分解にかなりの時間がかかります。分解されないまま土壌中に残ると、そこに住む微生物の活動を妨げる可能性があるのです。
砂漠が広がるチリでは、ただでさえ植物が育ちにくい環境です。古着がもたらす土壌汚染により、さらに砂漠化が広がる恐れもあると考えられています。
チリの古着問題を止めるために個人や企業が取り組める3つのこと
チリの古着が引き起こす環境問題は、他人事ではないと感じた方も多いでしょう。砂漠に捨てられた古着をすぐに解消するのは難しいですが、これ以上増やさないために私たちにできることがあります。一人ひとりが、衣服のあり方やファッションを楽しむ方法を考えるのが重要です。
①長く着られる衣類を選ぶ・作る
消費者は長く着られる服を購入し、生産者は長く着られる服を作るようにしましょう。例えば、良質なコットン、ウールなどの天然素材は耐久性が高いです。縫い目が丈夫でほつれにくい服は破損が少なくなります。
また、流行に左右されないデザインの服は、長く着用できるアイテムとなるでしょう。
②環境に優しい服を選ぶ・作る
近年、リサイクル繊維や土に返る繊維で服を作っているブランドが出てきています。生産だけでなく、廃棄までを考えている服があるのです。環境に優しい服は、生産に手間がかかるので値段が高くなってしまいますが、そのような服やブランドを支持するのも環境問題解決のための手段といえます。
③処分の前にリユースを考える
まだ着られるけど処分したい服がある場合、寄付や回収に出す前に自分でリユースできるかを考えてみましょう。他国では古着が飽和状態のため、自分で購入したものは自分の周りで循環させるようにする方法です。
綿素材でできている服は、切って雑巾として使用できます。ジーンズは、バックやポーチなどにリメイクもできるのです。
まとめ|チリに溜まる古着からみえる環境問題と私たちができること
チリに溜まる古着から、衣服の環境問題を解決するために私たちができることをご紹介しました。チリの砂漠に廃棄されている古着は、大気汚染や土壌汚染を引き起こします。大量の古着は世界各国の不用品の場合が多く、大量生産・大量消費のファストファッションが原因です。
衣類による環境問題解決のために、長く着られる衣服や環境に優しい衣服を購入・生産するようにしましょう。服を処分するさいは、ご自分の周りでリユースやリメイクができないかを考えて行動するのも重要です。